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イラストレーター 近藤達弥さんにインタビュー「脳裏に焼きつくような記憶に残る1ページを作りたい」


みなさん、こんにちは!ÉHON INC. の安蘇谷です。

今回、イラストレーターの近藤達弥さんにインタビューをさせていただきました!
現在ÉHON INC. では、自分が主人公になれる絵本の「アバター絵本システム」を開発するためクラウドファンディングに挑戦中(https://camp-fire.jp/projects/view/404026)です。第一弾として制作予定の絵本は「シンデレラ」と「桃太郎」の2種類。近藤さんには「シンデレラ」のイラストを担当していただいております。

これまでに大手企業のCMやポスター制作を手掛けてこられた近藤さん。
仕事の話、そしてイラストレーターになるまでの話や今後の展望などについてもじっくりとお話を伺いました!近藤さんの素敵なお人柄が伝わるインタビュー内容。ぜひ最後までご覧ください。

実家が和菓子屋!職人を見て育った幼少期

安蘇谷:本日はよろしくお願いします! 2ヶ月ほど前に「シンデレラ」の絵本のイラスト制作を近藤さんにお願いするという話を聞いたのですが…まさか安室奈美恵さんを起用しているセブン-イレブンのCMのイラストを描かれている方だと知ったときは本当に驚きました!繊細で素敵な絵を描かれる方だなと思っていました。実際お話をしてみるとどんな方なのだろうと、今日のインタビューをとても楽しみにしていました。近藤さんは昔から絵が好きなお子さんだったんですか?

近藤:よろしくお願いします。そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます。小さい頃から絵を描くことが大好きな子供でした。幼稚園生の頃から絵画教室に通っていました。あとは、実家が和菓子屋でして。子供ながら、職人さんに交じってお菓子作りなど仕事の手伝いを一緒にしていました。

安蘇谷:ご実家が和菓子屋さんなんですか!職人さんの仕事に向き合う姿勢を見ながら育ったのですね。

近藤:そういう環境で育ってきた影響は少なからず受けていると思います。私自身、結構世界に入り込むタイプなので。

安蘇谷:そうなんですね!小さい頃に育った環境も今の職人肌な近藤さんに影響しているのですね。絵画教室は小学生になってからも続けて通っていたのですか?

近藤:続けていました。中学生の頃は油絵を習いに、また別の教室にも通っていましたね。高校は美術科がある学校に入学をして、大学は多摩美術大学の油絵科にいきました。

安蘇谷:高校からもう既に専門性を磨く道に選んでいらっしゃったのですね。大学ではどのような学生生活を送っていらっしゃいましたか?

近藤:大学の途中で陶芸科に変わったので、大学では主に油絵と陶芸の勉強をしていました。それと在学中に自主制作の映画を制作している監督さんに知り合って、映画作りのお手伝いをしていました。ホラーとSFが混ざったような映画を一緒に作っていたのですが、私は映画制作の裏側で特殊小道具を作ったりしていましたね。とても良い思い出です。

安蘇谷:油絵と陶芸を学ばれて、さらに映画制作の世界でも勉強されていたのですね。幼少期からのお話も伺って、小さい頃から絵を描くことがとても身近だったのだなと感じました。職人さんの姿勢を見て育ったことも、自然と今に活きているのですね。

(出典:近藤達弥 ポートフォリオ「セブン-イレブン様のお仕事」)

大学卒業後は1年間南米へ!石が大好きな収集家

安蘇谷:大学卒業後、どのようなキャリアに進まれたのか教えてください。

近藤:正直、大学在学中は卒業後のことは何も考えていなかったんです。当時はこの先もずっと絵を描いていく!という訳でもなく、色々な体験をしてみたいという気持ちの方が強かったので、バックパッカーとして1年間南米に行きました。南米を選んだ理由は直感ですね。南米って面白そうだなと(笑)辞書も持っていかずに行ったので、現地のラジオとかを聞いて勉強していました。

安蘇谷:直感で思い立って、南米ですか!なかなか出来ないことだと思います。近藤さんの作品を拝見して、すごく繊細な方なのかなと想像していたので..。実際はとてもワイルドでチャレンジャーな方ですね!現地で絵は描かれていたんですか?

近藤:絵のために南米に行った訳でもなかったのでノートに落書きとして描いているくらいでしたね。南米での生活は、言葉も分からなかったけれど全てが新鮮でとても刺激的でした。その経験が未だに忘れられないです。今でも思い出に残っていることと言えば、石が好きでよく石集めをしてました!

安蘇谷:石ですか!!ちなみにどんな石を集めていたんですか?

近藤:ペルーの湖の周りで採れる石は、とても透明感があるんです。それを拾って集めたりしていました。あとは、どこにでも転がっていそうな石だけど模様がとても綺麗なものとか。日本に帰国するときに石を何キロか持ち帰ってきたので、税関で用途を聞かれたりしました(笑)

安蘇谷:もはや、石の収集家ですね(笑)南米にある綺麗な石、私も見てみたいです。南米のエピソードから、近藤さんの新たな一面を知れた気がして嬉しいです。

イラストレーターとしての仕事

安蘇谷:南米から日本に帰国した後は、どのような流れでイラストレーターのお仕事をするようになったのですか?

近藤:当時はイラストの仕事があるとも思っていなかったんです。あまりよく考えてはいなかったのですが、仲が良くてよく遊んでいる友人同士で事務所を設立したんです。友人達はスタイリストであったり洋服を作ったりしていたので、スタイリストの撮影の流れで絵が必要だったら、私がその絵を描いたりしていました。その流れで徐々にイラストレーターというスタンスができてきました。

安蘇谷:近藤さんご自身の感覚で、イラストレーター1本で仕事ができる!と思えたのは大体いつ頃だったのでしょうか?

近藤:そこから10年後の30代半ばくらいですかね。それまではバイトをしながら、イラストの仕事をしていました。

安蘇谷:近藤さんにもそのような時代があったのですね。今はイラストレーターとして数々の素敵な作品を手掛けていらっしゃいますが、ご自身のスタイルを確立するまでに何かターニングポイントなどはあったのでしょうか?

近藤:PARCOさんの仕事です。実はこの仕事のきっかけになったのはファッション雑誌の仕事だったんです。雑誌の中で自由にテーマも洋服も決められるというページがありまして。スタイリストの方から漠然としたイメージだけ渡されて好きにやってほしいと言われたので、モデルの子の背中に点描で蝶の絵を描いたんです。それがきっかけでPARCOさんの仕事がきました。その後イラストレーションファイル(玄光社が発売している日本で活躍するイラストレーターを紹介したイラストレーション年鑑)に載ることができて、どんどん仕事に繋がるようになりました。今思うと、それが人生のターニングポイントだったように思います。

安蘇谷:PARCOのお仕事が人生の転機だったのですね。女性の背中に蝶の絵が描いてあるイラストも拝見しましたが、一度見たら忘れないようなとても素敵な絵ですよね。

近藤:ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。

安蘇谷:これまでイラストレーターの仕事をしていて、大変だったことはありますか?

近藤:日々、アイディアが沸かないと辛いですね。イラストを描く上でいかに「自分のイメージに限りなく近づけられるか」ということを大切にしているのですが、頭の中でイメージしたことをそのまま絵に落とし込むことが大変なときもあります。

安蘇谷:アイディアを出すだけでなく、それを実際に表現するんですもんね。とても芸術的で繊細なお仕事だなと思います。逆に、これまでで一番やりがいを感じた仕事を教えていただけますか?

近藤:どのお仕事もやりがいはありますし、有難くお受けしています。印象に残っているのは、東京ベイ東急ホテルの仕事です。飛び出す絵本を実際に作って撮影したことが、とても面白かったですね。イラストレーターは基本的に個人作業なのですが、この仕事はチーム作業の要素が加わっていたのでとても楽しかったです。

安蘇谷:確かに、イラストレーターさんの仕事ってチームでやるイメージがあまりありませんもんね。良いときも悪い時も含め沢山の経験が今の近藤さんの素敵な作品作りに繋がっているのだと感じました。

(出典:近藤達弥 ポートフォリオ「PARCO様のお仕事」)
(出典:近藤達弥 ポートフォリオ「ファッション雑誌のお仕事」)

「シンデレラ」の絵本制作の裏側

安蘇谷:現在ÉHON INC. のプロジェクトで、自分が絵本の主人公になれる「アバター絵本」の開発をしています。近藤さんには「シンデレラ」のイラスト制作を担当していただいていますが、このプロジェクトを引き受けてくださった理由をお伺いしてもよろしいですか?

近藤:絵本制作は面白そうだなと思ったことが一番大きいです!私には二人の息子がいるのですが、小さい頃はよく絵本を買って読み聞かせをしていました。個人的には、イエラ・マリの「あかい ふうせん」という絵本が好きなんです。自分が絵本を作る側になるのは、とても面白そうだなと感じました。

安蘇谷:近藤さんも絵本がお好きなんですね。現在、シンデレラのイラスト制作を進めていると伺ったのですが、今回の絵本を描く上で意識した事や、制作秘話などあれば教えてください。

近藤:そうですね。絵本っていうのは1枚絵ではなくて、何枚もの絵で構成されているので、どこかのページは暗いイメージにするなどイラストの抑揚や強弱をつけたいなと思いました。ディレクターさんからは絵本全体を華やかにしたいというご意見を頂き、いちクリエイターとして葛藤はありました。ただ、意見の違いで衝突するのは良い事なのです。お互いが「良いものを作ろう」という気持ちがあるからということを私も十分理解しています。それにディレクターさんの言葉が、私の中で凝り固まっていたものを紐解いてくれて、逆にプラスアルファにもなってきているんです。だからきっと最高の仕上がりになると思います。

安蘇谷:そのようなやり取りがあったんですね。知りませんでした。シンデレラの馬車が登場するシーンのラフ画像を見たときは、本当に引き込まれて感動しました。あのイラスト制作の背景には、そのように試行錯誤を重ねて制作を進めてくださっていたんですね。

近藤:馬車のシーンのイラストは僕の中でも絵本の一番の見所です。絵のイメージがぽんっと浮かんできましたし女の子はきっとワクワクするんじゃないでしょうか?

安蘇谷:完成が本当に楽しみです。この絵本は、子供たちにプレゼントとして贈られることが多いと思うのですが、絵本を通して子供たちに伝えたいメッセージや想いはありますか?

近藤:シンデレラ自体がとてもメジャーで皆んなが既にもう知っているお話なので、このストーリーを通して何か伝えたいというよりは、脳裏に焼き付くような感動するページを1ページでも作れたら嬉しいですね。絵本に出てくる動物やこだわりの色など、どこか1ページでも記憶に残ってくれたらとても嬉しいです。

安蘇谷:ラフ画を何ページか拝見しましたが、舞踏会のシーン、ガラスの靴のシーンなど..。本当にどれも心に残る素敵なページでした!絵本を贈られた方がどんな反応をするか、今からとても楽しみですね。最後に、近藤さんのこれからの展望について教えていただけますか?

近藤:今は、まだ商業イラストレーターですが、おじいちゃんくらいの年齢になったら自分の本当に好きな絵を書いていきたいです。いわばアーティストの方向へ…(笑)

安蘇谷:アーティストというと、自分の好きな絵を書いて表現していくということですよね。近藤さんの絵がオークションに出されるみたいな..とても夢がありますね。 

これからも近藤さんの素敵な作品をたくさん拝見できることを、心待ちにしております。
そしてシンデレラの絵本の完成を楽しみにしております!

※画像は開発予定の絵本「シンデレラ」のイメージ画像です。

ÉHON INC. では、4/6〜5/9まで自分が主人公になれる「アバター絵本」を開発するため、クラウドファンディングに挑戦中です!(開始3日間で目標金額達成!NEXT GOAL挑戦中!4/15現在)近藤さんがイラストを手掛けてくださっている「シンデレラ」の絵本もリターンとしてご用意しております。一度は憧れたシンデレラのキラキラとしたあの世界。近藤さんのイラストでさらに豪華で素敵な世界観となっております。
詳細については、ぜひこちらをご覧ください。

クラウドファンディングプロジェクトページ 
『自分が主人公になって絵本の中に入れる!「アバター絵本システム」開発プロジェクト』

近藤達弥 ポートフォリオ
https://tatsuyakondo.myportfolio.com/projects

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