演劇教育の第一線でたくさんの親子と接してきたから分かる、親子のコミュニケーションで大切なこと


今回、演劇教育の分野でご活躍されている平井真奈先生、小林志郎先生へのインタビューが実現しました!小林先生は東京学芸大学名誉教授(元副学長)で、ご退官後、有明教育芸術短期大学を創設され初代学長をつとめられました。教育研究者として演劇教育や大学の管理運営に尽力されてきた方です。平井先生は、「0歳から音楽や演劇に親しめる暮らしを当たり前にする」ために、乳幼児とその保護者を対象としたコンサートやミュージカルを作ったりなど様々な活動をされています。  

前回、小林先生へのインタビュー記事をお届けしましたが、今回は第二弾、平井先生へのインタビュー内容になります!これまで「演劇教育」の第一線で活躍してきたご経験、そして母親の立場から、親子のコミュニケーションにおいて大切なことなどたくさんお話を伺いました!ぜひ、育児の参考にして頂ければ幸いです。そして、親子で一緒に音楽や演劇を楽しむきっかけになれたらと思います。

0歳から音楽や演劇に親しめる暮らしを当たり前にするために

国則:本日はよろしくお願いします!まず始めに、平井先生が取り組まれていることについてお伺いさせてください。

平井先生:わたしは「0歳から音楽や演劇に親しめる暮らしを当たり前にする」ことを掲げて活動していまして、その1つとして演劇教育に携わっています。小林先生のアシスタントもさせていただきました。

国則:小林先生のアシスタントもされていたんですね!0歳から入場できる音楽や演劇の場作り、思いついてもやるとなると大変だと思います。具体的にどのような事をしているのでしょうか?

平井先生:乳幼児とその保護者を対象としたコンサートやミュージカルをつくっています。他にもコミュニケーション力を育むために、小学生のお子様たちと身体や五感を使うシアターゲームを行ったりもしていました。シアターゲームは多岐にわたりますが、1つの例として、フルーツバスケットのように身体を使って遊びのように楽しめるものです。そういった子どもが楽しめる講座やイベントは増えていますが、まだまだ日本では未就学児が文化芸術の場に入れないことが多いんです。コロナの影響もあって更にその機会は少なくなりました。でも、新しい生活様式をつくっていく今だからこそと思い、自治体と協力して屋外や小さな規模でもコンサートやミュージカルを上演できるように新しい取り組みを展開しています。文化芸術との距離がもっと近くなり、親子で楽しんでいただけたらとても嬉しいですね。

国則:ミュージカルなどを子どもと一緒に楽しみたい!と思っていても、入場の年齢制限によって、それが出来ずにいる家族は多い気がします。「0歳から入場できる」これは親の立場からしても、とても魅力的ですね。ご自身でコンサートを作られているとのことでしたが、平井先生は楽器などの演奏もされるんですか?

平井先生:演奏はピアニストやヴァイオリニストが行い、私は俳優として歌とストーリテラー、演出を務めています。

国則:なるほど!俳優をやっていくうちに、今取り組まれてる分野に興味をもったということでしょうか?

平井先生:そうですね。大学の演劇専攻を卒業した後、俳優活動を経て「演劇教育」についてもっと学びたいと思ったとき、小林先生と出逢って、アシスタントにしていただいたという経緯です。小林先生とご一緒させていただきたい!と思った理由はたくさんあるのですが、その中でも大きかったのが、小林先生の活動の中で「社会で生きる力を育む」というワードが出てきたこと。ここに強く惹かれました。

国則:素晴らしい出逢いだったんですね。「社会で生きる力を育む」とはどういうことでしょうか?

平井先生:演劇というと、役を演じる、大きな声ではっきり言うとか、舞台上で悲しみを表現するというような非日常のイメージを抱かれる方も多いのですが、演劇教育のアプローチはもっと日常の、社会で生きていく中で必要な力を高めることを目的としています。例えば、小林先生も仰ったように、小さな意思決定の練習を積み重ねることができます。小林先生の講座では「じゃんけん禁止」なんですよ。やりたい人が挙手をしたり、話し合いで決めます。まだ順番が回ってきていない人は誰かなと探し、バトンを回すことも行います。そういったコミュニケーションの中で折衝をする力を伸ばすことができます。折衝する力がつくためには、相手はどんなことを思っているのかなど推察する力が大切ですよね。演劇教育のワークショップや音楽的空間の中で、子ども達は想像力を膨らませながら、実際に身体を使う体験をします。そこで小さな成功体験をたくさん積んでほしい、そう思います。

国則:なるほど。折衝する力も想像力も、大人になって社会を生きていく上ではどちらもとても大切な力ですよね。それを子どものうちから、自由に楽しみながら身につけていけるのは、とても良いなと感じました。

親子のコミュニケーションで大切なこと

国則:想像力やコミュニケーション力などの「非認知能力」は、学校のテストのように、ただ勉強していれば上達するというものでもないと思います。非認知能力をあげるためには、親子間のコミュニケーションは重要だと思われますか?

平井先生:そうですね。わたし自身まだ勉強中ではあるのですが、やはり親子間のコミュニケーションは、子どもの非認知能力を下支えする大きな基盤になると思います。たくさんの言葉に小さい頃から触れることが大切だからです。ただ、親子だけではなく兄弟や祖父母、地域の方などできるだけ多くの方から子どもたちへ語りかけられることで、ボキャブラリーの量を増やすことや用い方のパターンを提供できることに繋がると思います。

国則:たくさんの言葉に触れることが、子どもにとって良い刺激になるんですね。平井先生はお子様がいらっしゃるとお伺いしましたが、子どもに接するときに大切にしていることなどあれば、教えていただけますか?

平井先生:絵本の読み聞かせのときなどに、絵本に書いてあることを読むだけでなく「いま、この子はどんな気持ちかな?」など、子どもが思考しやすくなる質問をたくさん投げかけることです。演劇教育でも、よく教師から子どもに質問を投げかけますが、それにより子どもが考える手助けができます。また、子どもが触れる言葉も、子どもが発する言葉も増えます。特に子どもが赤ちゃんの頃、「子どもに話しかけてあげなくちゃ!でも何を話しかければ良いのか…」と少し負担にも感じているお父さんお母さんも多いようですが、この手法を使うと絵本をきっかけにして親がどんどん言葉を発しやすくなるので、お試しいただきたいです。

国則:素晴らしいですね。言語を増やす事も大事ですし、今の学校教育などだと、知識を身に着ける教育で、考えたり、想像するという力を育むのは難しい気がします。小さなうちから、考えるという事に触れさせられる絵本は手助けにもなりますね。

「教育」も「絵本」も子どもと同じ目線に立つことが重要

国則:平井先生は、オリジナル絵本を作るÉHON INC. というサービスについて、どう思われますか?たくさんの親子と実際に関わってきた経験、そして母親の立場からも、お話聞けたらなと。

平井先生:そうですね。「絵本をつくる」という体験に価値を置いている点が、結果ではなくプロセスを大切にしている演劇教育と似ている点だなと感じました。あとは、親と子どもが一緒に絵本をつくれるのでしたら、さらに良いなと思います。

国則:そうですね。子どもも一緒に絵本を作れたらなというのは、わたしも思っています。これまでは子どもにサプライズで絵本を贈るため、親だけで作るケースが多かったので…。昨年、(株)イオンファンタジー様と協働で、子どもたちの夢を叶える企画を行ったんですね。そのときに、将来絵本作家になりたいという女の子が絵本を作るお手伝いをしたんです。(この企画の絵本完成までの様子はこちら)絵本を作ったお子様も、それを近くで見守っていた親御さんも喜んでくれて。子ども自身が、絵本制作に関わる機会をどんどん増やしていきたいなと思いました。

平井先生:子どもが主体となって出来るのはいいことですよね。私が芸術鑑賞機会の普及や演劇教育、自身の子育てでもいつも意識しているのは「子どもと大人が並んで同じものを見る」ということです。同じものを見た上で、子どもと取るコミュニケーションの重要を感じています。

国則:確かに。私も2人の娘と「あつまれどうぶつの森」のゲームをするのですが、まさに同じ目線でゲーム内で町づくりをしていました。あそこの川に橋を作ったよ!とか、手紙を送ったからポスト確認しておいてね!など、共通言語も増えて良いコミュニケーションになっていたと思います。

平井先生だったら世界に1冊だけの絵本を誰に贈りますか?

国則:最後に、もし平井先生が世界に1冊だけのオリジナル絵本を作るとしたら、誰に贈りたいか。最後にお聞きしてもよろしいですか?

平井先生:やっぱり自分の子どもに贈りたいですね。プロのデザインの力をお借りして、本屋さんに並んでいるような立派な本を子どもが幼いうちに贈ってみたいです。

国則:その絵本を通して、どんなメッセージを伝えたいですか?

平井先生:世界って面白いところだよ!あなたが「もしこうしたらどうなるだろう?」と思って行動すると、必ず何かしら世界は動くということを伝えたいです。

国則:とても温かくて素敵なメッセージですね。絵本には「物語の力」や「イラストの力」で、言葉だけでは伝えきれない想いを描けるのでとても良いと思います!インタビューありがとうございました。

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いつでも子どもの目線に立って物事を考えている、平井先生。これまで「演劇教育」の第一線でたくさんの親子と触れ合ってきたご経験、そして母親の立場から、親子で楽しめるコミュニケーション法などを伺いました。子育ての参考になれたら、幸いです。

第一弾の小林先生へのインタビュー記事は、こちらからご覧いただけます。
演劇教育の第一人者である東京学芸大学名誉教授(元副学長)に聞いた、親子のコミュニケーションにおいて大切なこととは?

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